猫の居場所
猫と暮らす家を計画するとき、最初に思い浮かぶのはキャットウォークではないでしょうか。
壁に棚を設けたり、梁の上を歩けるようにしたりすることは、猫にとって楽しい仕掛けです。しかし、猫のための住まいで本当に大切なのは、特別な設備を増やすことだけではありません。
猫は、高い場所から室内を見渡すことを好む一方で、静かに隠れられる場所も必要とします。
そのため、猫の動線は「上る場所」「見渡す場所」「休む場所」「隠れる場所」を一続きに考える必要があります。行き止まりの棚をつくると、複数の猫が暮らす場合には、追い詰められる場所になることもあります。
キャットウォークを設ける場合は、二方向から移動できる回遊性を持たせ、途中に十分な奥行きの休憩場所を設けます。窓辺や吹抜け、階段、本棚など、もともと建築に必要な要素を猫の動線として活用する方法も有効です。
ただし、高い場所を増やせばよいわけではありません。
飛び降りる先が滑りやすい床になっていないか、棚板がたわまないか、掃除ができるか、将来猫が高齢になったときにも使えるかまで考えておく必要があります。
猫のためだけにつくった設備は、使われなかった場合に無駄になることがあります。一方、人の収納や窓台、階段と猫の居場所を兼ねるように設計すれば、暮らしの変化にも対応できます。
猫の習性を理解しながら、人の生活と無理なく重なる場所をつくること。
それが、建築として考える「猫のための住まい」だと思います。
2026/09/11